アントロピック、インド拠点開設へ、ムケシュ・アンバニとの提携視野
Anthropic共同創設者兼CEOの Dario Amodei は今週インドを訪問しており、ベンガルールにオフィスを開設する計画と Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)の Reliance Industries との提携を模索する意向をTechCrunchが把握した。米国に次ぐ最大市場であるインドへ、AIスタートアップとしての存在感を深める動きだと示唆される。
Amodei はムンバイを訪れ、Ambani ら Reliance Industries の上級幹部と会う予定だと関係者は語る。Reliance は国内で最も価値のある企業であり、国内トップの通信事業者 Reliance Jio の親会社でもある。Anthropic はこのところ Reliance との提携を通じて、インドで Claude AI アシスタントの利用拡大を目指す協議を続けているという。
世界第2位のオンライン市場であるインドは、中国に次ぐ規模を持ち、インターネット加入者が10億人を超える。Anthropic にとって重要な成長地域として浮上しており、現地の複数のAIスタートアップが国内外の顧客向けに Claude モデルを製品に組み込んでいる。Similarweb のデジタルインテリジェンスによれば、 Claude のウェブサイトへのトラフィックのうちインドは米国に次いで第2位の割合を占めている。
8月、Reliance Industries は既存の投資家である Google や Meta を含む大手テック企業と提携し、新設の部門 Reliance Intelligence を通じて AI インフラと企業向けソリューションを構築している。ムンバイに本拠を置くこの総合企業は、OpenAI との協業の可能性も模索しており、OpenAI は本年初頭にインド向けの「5米ドル以下」ChatGPT プランをローンチしたほか、2025年にニューデリーにオフィスを開設する計画を発表していた。
その Reliance-OpenAI パートナーシップは、OpenAI のCEO Sam Altman が先月インドを訪問する予定だった際に発表される見込みだったが、Altman は結局訪問を延期した。
Reliance Industries はコメントの要請には応じなかった。TechCrunch は OpenAI へのコメント依頼も行っている。
現地と東京を結ぶ経路で、Amodei はムンバイに加えニューデリーを訪問し、主要な立法府関係者や連邦政府高官と面会する予定だという。 trip の計画を詳しく知る二名の関係者はTechCrunch に語ったうえ、インドの首相 Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)とも会う見込みだとも明かした。
週後半には Bengaluru で Anthropic のオフィス開設を木曜日に発表する予定だと関係者は語る。Anthropic の EMEA 担当責任者 Guillaume Princen、スタートアップ担当責任者 Daniel Delaney も同行する。Accel、Lightspeed などの著名なベンチャーファンドも今週、Anthropic の幹部と専用セッションを開催し、開発者やスタートアップが Claude を自社製品へどう活用できるかを共有する予定だ。
Anthropic の Claude アプリは iOS・Android で提供されており、9 月のインドでのダウンロードは前年同月比で 48% 増、今年度は約 76 万7,000回のインストールに達したと Appfigures は伝える。インドでのアプリ消費支出は前年同期比 572% 増となり、9 月だけで約 19.5 万ドルを記録した。
ただしインドの数字は米国と比較すると控えめだ。米国ではダウンロードが前年同期比 91% 増、消費支出は 604% 増となっている。米国の利用者は 9 月に Claude アプリへ約 250 万ドルを支出した。世界全体ではダウンロードが 74% 増の 101 万件、同月の消費支出は 546% 増の 562 万ドルとなっている。
OpenAI がニューデリー経由の政策更新の監視と販売・マーケティング体制の整備を同時進行で進めるのに対し、Anthropic はベンガルール拠点を通じて開発者やスタートアップを主な対象にする方針だ。
Anthropic の Claude の利用はインドからの需要が最大であるとの指摘があり、同社と密接に協働する創業者は匿名を条件に TechCrunch に語った。
OpenAI と並び、Perplexity もインド市場を狙っている。同社は Bharti Airtel と提携し、同社の Perplexity Pro を 3億6,000万を超える Airtel の顧客に 12 か月間提供する計画だ。AI 検索スタートアップは現地ユーザー向けにも製品を磨き込み、インド株の決算説明会のライブ書き起こしを提供するなど、インドからのエンゲージメントを高める取り組みを進めている。
Anthropic はコメントの要請には応じていない。
